「世界をつかめなかった敗因はネイティブ英語が話せたから・・・」

第16回 世界最優秀ソムリエコンクールベルギー・大会が先月行われました。
1995年 第8回世界最優秀ソムリエコンクール優勝した「田崎 真也」さんから、24年ぶりに日本人『世界一ソムリエ』が誕生すると誰もが予想する実力のソムリエ(森覚さん、岩田渉さん)が、今回参加しました。
しかし、結果は写真の通り2人とも決勝に上がれませんでした
 
世界最優秀ソムリエに輝いたのはドイツのマルク・アルメルト氏

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さて、何が敗因だったのでしょうか??
 

世界大会について・・・

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ここで、軽くワインコンクールについて触れておきます
会場はウエディング会場のような場所で行われます。
実際に何組かのお客様にサービスをします。
それだけです。それだけなんです。
しかし、何が採点基準になっているか全くわかりません。
また、誰が審査員なのかもわかりません。
コンクールの内容は回を追うごとに高度化しています。
ワイン産地が世界各地に広がり、出場選手は中国やオランダの産地名まで覚えなくてはならなくなりました。
そもそもソムリエが扱うのはワインに限らず、飲料全般におよびます。
決勝ではブラックチョコレートに合わせてグラン・クリュ・コーヒーを選ぶ課題まで出た。
 

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サービス実技でのトラップはもはや当たり前。決勝では、お客さまの持ち込みワインに合わせて即興でメニューを組み立てる課題にトラップが仕込まれていた。
ワインの中にドメーヌ・ポンソのクロ・サン・ドニ45年という、実在しないフェイクワインが含まれていたのである。
これに気づくだけでもすごいことだが、お客さまの機嫌を損ねず、フェイクであることを説明するのはさらに難儀であろう。
何かトラップが仕掛けられているのではないかと、かえって疑心暗鬼に襲われた選手もいたに違いない。
そして、世界一のソムリエになるには、語学力が重要です。
それも話せるというレベルではなく、ネイティブ並みに話せなくては勝負にならない。
また、テーブル上の小さな変化にも敏感に反応する鋭い注意力と、咄嗟に行動に移せる対応力。出題範囲が大きく広がった今、貪欲なまでに知識を増やし、それを蓄える記憶力も求められる。
 

日本人が負けたのは「英語圏の英語」で話をしたから?

 

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さて、表題にある本題に戻ろう
優勝したマークはやはり、サービスも大変上手で、とにかく早いのです。
もちろん顧客(審査員)とのコミュニケーションが重要な採点項目ですから、その辺りで一日の長があったのは否めません。
そうなると・・・・・・そうなんです。第1の問題はやっぱり英語なんです
ソムリエ(森覚さん、岩田渉さん)は、すごく英語が上手です。要するにネイティブ、英語圏の英語なのです。
しかし、今回はこれが逆にあだとなりました。
今回の審査員はオール「フランス語ネイティブ」で英語の母国語者が1人もいなかったんです。
ネイティブと言ってもシンガポール、インドあたりになるともう完全に「ローカル」ですし(シンガポールの英語はシングリッシュ、インド系の人たちの英語はインディッシュ、と呼ばれています)、この人たちと英語で議論する場合は、本当に注意が必要です。
 
例えばですが・・・・・・
Never mind!!
と言われたら、どういう意味にとりますか?
「まあ、気にすんなよ」、とかそういう意味で、例えば私が何かミスった時に相手は気を使って Never mind! とか言ってくるわけです。では、人の足を踏んだ時は何て言いますか?
そりゃあ、I’m sorry に決まってます。
ところが・・・・・・インド人は人の足を踏んでおいて「Never mind!!」 とにこやかに言って去っていきます。
ちょっと待て、それ、お前のセリフか・・・・・・ということで、英語元来の意味が支離滅裂に離れていくというのが非英語圏の英語の共通要素です。
このフランス語なまりの英語をしゃべる人たちときちんとコミュニケーションできているか、サービスできているか?
サービスの世界では、間違った英語にもお客様の意図を察して対応することが求められます。
例えば・・・ワインを注ぎます。
するとお客さま(審査員)がフランスなまりで、
「Oh, I like this wine、is it?」と言っているわけです。
ん?これって英語? 
岩田氏は不思議そうな顔で無言でそこを通過していましたが、それは当然です。
一方、優勝者のマークはにっこり笑って
”Yes, it is!!” と答えて他のテーブルに回っていきました。
英語としては大間違いですが「岩田減点10、マーク加点10」瞬間です。
せめてisn’t it!? だったら、簡単にoh yes, it is!! Do you like it?? と返せるわけですよ。

 

実に気遣い、おもてなしのいる世界です。

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xoxo Wine Lovers